2014年9月6日 今日の東電プレスリリース

暑さが戻ってきた廃炉現場は過酷な環境。作業員がドクターヘリで搬送される

9月6日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

午前10時50分頃、協力企業作業員が体調不良で救急医療室へ。その後ドクターヘリに乗り継いでいわき市の病院へ搬送

※福島第一原子力発電所構内で作業をしていた協力企業作業員(男性)が体調不良を訴え、本日午前10時50分頃に入退域管理棟救急医療室に入室。医師による診察の結果、緊急搬送の必要があると判断されたため、同日午前11時18分にドクターヘリを要請し、午前11時52分、救急車にて福島第一原子力発電所からドクターヘリの待ち合わせ場所へ出発。午後0時15分にドクターヘリにて、いわき市立総合磐城共立病院へ出発。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

以前にも指摘したとおり、事故原発構内にはヘリコプターは着陸できない。待ち合わせ場所を経由してのヘリ搬送が行われたのはそのため。
この日の浪江の気象状況は、
午前10時 晴れ 気温28.4℃ 北東の風1.9m/s
午前11時 晴れ 気温28.2℃ 東南東の風2.6m/s
午前中から暑い日だった。

漏洩が発生したG4タンクエリアで、A5タンクの水位を下げるためのA4タンクへの移送を再開

(略)A5タンク内の水位を下げるため、午後2時40分頃より、仮設ポンプにてA4タンクへの移送を行っていたが、ひび割れ箇所の補修および夜間における作業安全を考慮して、午後5時50分頃に移送を一旦停止。その後、接着剤(パテ)にてひび割れ箇所の補修を行い、午後6時3分に滴下が停止したことを確認。なお、堰内雨水についても、パワープロべスター(バキューム車)にて断続的に汲み上げを行っている。接着剤によるひび割れ箇所の補修を行った以降、定期的なパトロールを実施し、当該連絡弁からの滴下が無いことを確認。(既出)

その後、9月5日午後2時16分からA4タンクへの移送を再開。午後5時にA5タンク内水位が当該連絡弁の位置より低い状態となっていることを確認。その後、仮説(ママ)ポンプで吸い込み可能な水位まで至ったことから、同日午後6時10分に移送を停止。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

操作卓が落下した3号機プール水の分析結果とプラントパラメータ ~9月5日分

使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:9月5日)
・セシウム134:2.2×10^2 Bq/cm3
・セシウム137:6.6×10^2 Bq/cm3
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1.1×10^0 Bq/cm3)

プラントパラメータ(9月5日午後4時現在)
・モニタリングポスト       :有意な変化なし
・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量  :有意な変化なし
・使用済燃料プール水位      :有意な変化なし
・スキマーサージタンク水位    :有意な変化なし

分析結果については、前回と比較して有意な変動がないこと、また、プラントパラメータに有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

リットル当たりの線量に換算

・セシウム134:220,000 Bq/L
・セシウム137:660,000 Bq/L
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1,100 Bq/L)

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

※滞留水移送は停止中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月3日午前10時47分~)

※滞留水移送は運転中

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年8月19日午後4時18分~)

※滞留水移送は運転中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

9月5日のパトロールにおいて、タンク間の連絡弁からの滴下の影響で堰内入域を制限したG4南タンクエリアを除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

※入域制限中のG4エリアを除くパトロール結果では、新たな高線量当量率箇所は確認されず、目視点検ではタンク全数に漏洩等は発見されず、汚染水タンク水位計による常時監視でも異常なし。

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年9月6日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月6日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太