2014年8月2日 今日の東電プレスリリース

5号機廃スラッジ貯蔵タンク室で漏えい警報。セシウム137が200 Bq/Lという数値は「十分に低い」と言えるものなのか?

8月2日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

5号機、廃スラッジ貯蔵タンク室で、漏えい検知器が警報発生!

※8月1日午後2時58分、5号機廃棄物地下貯蔵設備建屋に設置してある廃スラッジ貯蔵タンク室の漏えい検知器による警報が発生。午後3時に廃スラッジ貯蔵タンクレベルに変化が無いことを確認。その後、廃スラッジ貯蔵タンクのレベルに変化が見られないことおよび当該漏えい検知器から採取した水の分析結果の値が十分に低いこと、確認された水は排水を行い滴下がないことから結露水と判断。当該漏えい検知器の警報については排水したことにより午後3時45分に解除。

(水の分析結果)
 セシウム134 6×10-2Bq/cm^3
 セシウム137 2×10-1Bq/cm^3
 ヨウ素131 検出限界値未満(検出限界値:1.2×10-2Bq/cm^3)
 コバルト60 1.3×10-1Bq/cm^3

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

スラッジとは汚泥。出所は不明。上記の発表で「検知器から採取した水の分析結果の値が十分に低い」とされているが、分析結果を1L当たりに換算すると次のようになる。

 セシウム134 60 Bq/L
 セシウム137 200 Bq/L
 ヨウ素131 検出限界値未満(検出限界値:12 Bq/L)
 コバルト60 130 Bq/L

この数値が十分に低いと言える環境がどのようなものなのか調べたい。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目

◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス ~13回目の海洋排出の続報。排出量は2,140トン

※ 1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備の地下水バイパス揚水井から一時貯留タンクに汲み上げていた地下水について、一時貯留タンクグループ1から採取した水[採取日7月21日]の当社および第三者機関による詳細分析結果は同等の値であり、共に運用目標値を満足していることを確認したことから、8月1日午前10時27分から海洋への排水を実施し、(ここまで既出)

午後7時9分に排水を停止。排水終了後に漏えい等の異常がないことを確認。排水量は2,140トン。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

平成26年7月31日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

1~4号機タービン建屋東側

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

1~4号機サブドレン観測井

新規事項なし

地下貯水槽

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年8月2日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年8月2日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太