【東北の名所】東北にあった外国のような風景 ~種差天然芝生地~

青森県八戸市にある種差海岸。三陸復興国立公園の最北部位置する国指定の名勝である。その種差海岸で強く印象に残った場所がある。「種差天然芝生地」である。あるその光景は日本離れした開放感があり、まるで外国にいるような錯覚すら覚えてしまう。

種差海岸について

種差海岸。画像の左側が北になります。白い個所は太平洋

www.aptinet.jp

八戸市蕪島から大久喜に至る12㎞の海岸とその後背地が名勝・種差海岸として指定されている。広さはおよそ880ヘクタール。

種差海岸はこれまで多くの画家や作家に愛されてきた。同海岸を元にして作られた作品も多く、その数は100を超えるという。

昭和を代表する日本画家・東山魁夷もその一人で、同画伯の出世作として有名な「道」は同海岸がモデルになっている。作家・司馬遼太郎は著書「街道をゆく」で種差海岸について、次のように書いている。

どこかの天体から人がきて地球の美しさを教えてやらねばならないはめになったとき、一番にこの種差海岸に案内してやろうとおもったりした。

引用元:司馬遼太郎:街道をゆく

種差天然芝生地へ

八戸市街を後にすると、海沿いに車で南下した。白浜海水浴場を過ぎたあたりだろうか。そこに小さな看板があり、「種差海岸」と書かれていた。

車を降りて付近を見回してみる。海は林に遮られているために見ることができない。その場所からは特別なものを感じるとることができなかった。再び南下を開始する。
看板から少し行った場所だった。いきなり「バーン」と目の前に広大な緑の芝生地が飛び込んできた。鮮やかな芝生の向こう側には海が広がっている。「種差天然芝生地」であった。

種差天然芝生地

www.city.hachinohe.aomori.jp

種差天然芝生地を歩いてみた

その日、当初計画していた予定より遅れていたために先を急いでいた。しかしながら広大な芝生地に魅せられ、歩いてみることにした。
車を駐車場に停めて、芝生地に足を踏み入れる。

広大な緑の絨毯は大変心地が良かった。全て自然の芝生が自生したものだというから驚きである。最初に目にしたときはそれほど感じなかったものの、実際に芝生地に足を踏み入れてみると、結構起伏に富んでいる箇所もあることがわかる。芝生地には松の木立もあり、景観に良い変化を与えていた。

海の方へ向かって歩き始めるとすぐにキャンプ場が見えた。キャンプサイトは美しい芝生のフリーサイトで開放感に溢れており、なんとも贅沢なロケーションであった。思わずキャンプをしたい衝動に駆られる。

そこから少し海の方へと行った場所にはこんもりとした小山があり、一番高い所にはあずまやが建てられていた。

区画のない設営場所自由なフリーサイトのキャンプ場

あずまやからの見晴らしは素晴らしく、群青の太平洋と緑の芝生地を同時に一望することができる。

あずまやから波打ち際の方へと歩いていく。天然芝生地の海辺は磯となっていた。海を眺めることができる場所には家族連れがいた。芝生に寝っころがってくつろいでいる光景が実に微笑ましい。

私も芝生に腰を降ろして太平洋を少しの間眺めていた。そして、天然芝生地の中央付近にある小さな建物までのんびり歩くと、種差海岸の天然芝生地を後にした。

昔から多くの人に愛されてきた種差海岸。実際に訪れてみないと魅力溢れる解放感はわからないかもしれない。
車で2時間半ほどの距離には奥入瀬渓谷もあるので、セットで見て回ると東北の自然を満喫できると思う。八戸港も車で15分ほどの距離にある。同港で海の幸を楽しむことができるのもいい。

今回、種差天然芝生地の散策は時間の関係で少しあわただしいものがあった。次回行くときはテントを持っていき、キャンプをしながら1日ゆっくりと過ごしてみたいと思った。
久慈市を目指して天然芝生地を後にする際、この付近に住んでいる方々をとてもうらやましく思った。近所にこのような素敵な場所があれば、きっと生活に潤いがうまれるに違いない。またひとつ東北の魅力を知った。

種差海岸・種差天然芝生地

参考WEBサイト

Text & Photo:sKenji