2014年6月6日 今日の東電プレスリリース

ルールは守ってもらわないと。前回海洋排出を行ったグループ2のタンクで、2回続けて水質検査

6月6日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

地下水バイパス一時貯留タンクGr2の詳細分析結果

※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による詳細分析結果について、[採取日5月2日]同等の値であり、共に運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

前回6月2日の海洋排出が行われたのはグループ2のタンクからだった。溜める、詳細分析を行う、排水するの3工程を3つのグループで順繰りに行う計画のはずだが、なぜ今回もグループ2を分析しているのか? 大きな疑問だ。このまま引き続きグループ2の貯留水を海洋排出する予定なのだろうか。説明もなく自ら示したルールと異なる作業を行うことで、信用されなくなるのではと心配だ。

登録センター西側道路上で車両からガソリン漏れ

※6月6日午前8時30分頃、構内登録センター西側道路上において、協力企業が使用している車両の燃料配管より油漏れ(ガソリン)を発見。車両のエンジンを停止したところ、漏えいは停止。漏えいしたガソリンは、コンクリート床面に約3m×約1mの範囲で溜まっていることから、受け皿を設置し、漏えい箇所は吸着マットおよび中和剤により処置を実施中。なお、同日午前8時53分に一般回線にて双葉消防本部へ連絡。同日午前10時29分に双葉消防本部より「危険物の漏えい事象」との判断を受けた。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

午前11時、協力企業作業員が体調不良で緊急搬送

※6月6日午前11時頃、構内登録センター2階において、協力企業作業員が資材片づけ作業終了時に、休憩所にて休憩中に体調不良を訴えたことから、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けたところ、緊急搬送の必要があるため、同日午前11時51分に救急車を要請。なお、当該作業員に放射性物質の付着はない。その後、同日午後0時26分に急患移送車にて入退域管理棟を出発し、富岡消防署(救急車待機場所)に向かった。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

6月6日金曜日、福島県浜通地方(小名浜)の最高気温は、前日より2℃低い20℃だったが、それでも熱中症になったのだろうか。それとも別の症状か。防護服を二重に着込んで、顔には全面マスク。外気とともに放射性物質が入らないように袖口やマスクの境目はテープで目張り。雨が降ればさらにその上から通気性の悪いカッパも着用していたことだろう。「体調不良で搬送」という言葉からは、事故原発の作業環境の困難さが読み取れる。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス揚水井の状況

新規事項なし

※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

高濃度滞留水を誤って移送した焼却建屋からプロセス建屋への移送を実施中。建屋外側のサブドレン(井戸)のサンプリングについて記載

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
6月5日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

1~4号機タービン建屋東側の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

1~4号機サブドレン観測井の状況

1〜4号機建屋周辺のサブドレン(水抜き井戸)のサンプリング分析結果で高い汚染度が示される原因について、フォールアウト(大気中から降ってくる放射性物質。3年前の爆発で放出され堆積した汚染物質ということか。フォールアウトには死の灰の意味がある)の影響を確認する意図で行われているサンプリング検査で、4号機建屋山側(N12)の分析結果を新規記載。

今回新たに採取(6月4日採取)した4号機建屋山側(N12)の分析結果は、セシウム134が検出限界値未満(検出限界値:0.69 Bq/L)、セシウム137が検出限界値未満(検出限界値:0.84 Bq/L)、全ベータ放射能濃度は検出限界値未満(検出限界値:14 Bq/L)、トリチウム値は160 Bq/L。今後も引き続き監視を継続する。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

地下貯水槽の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月6日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月6日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太