2014年5月30日 今日の東電プレスリリース

3号機プール冷却停止計画の中断は、5月16日に発生したクレーンの不具合に起因、と公表

5月30日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

1号機,2号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月29日午前10時35分~)

3号機 ~燃料プール作業中止の理由を公表~

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月19日午前10時6分~)

※使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。

5月16日、当該撤去作業に用いるクローラクレーンに不具合が確認されたため、現在、当該撤去作業を中断。これまでの調査において修理点検に期間を要すると判断したことから、当初予定していた6月上旬までの同冷却系の停止運用期間を延長。

<最新の作業実績>
5月17日午前11時7分起動(起動後の温度:24.4℃)(既報)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

前日まで「5月17日午前11時7分起動」と書かれたまま放置状態だった、使用済み燃料プール「冷却停止」の中止(要するに冷却は行われている)。その理由がようやく公表されました。クローラークレーンということなので、建屋の外で動いている巨大クレーンのことと思われますが、2週間以上もかけても直せず、さらに「期間を要する」というのだから、クレーンの通常の部分ではない特殊な部分、つまり燃料プールの中で取り出し作業を行う先端部分の不具合かもしれません。

4号機

新規事項なし

・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

5号機 ~スクラム装置の点検のため原子炉冷却を停止

・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

・残留熱除去系原子炉停止時冷却モード(B系)にて原子炉水を冷却中であるが、原子炉保護系※機器の電気品点検に伴う電源切替を行うため、5月30日午前11時14分に停止(停止時の原子炉水温度:28.3℃)。同日午後0時42分、点検作業が終了したことから、当該冷却系を起動。なお、運転状態については異常なし。また、運転再開後の原子炉水温度は冷却停止時の28.3℃と同じで、運転上の制限値100℃に対して余裕があり、原子炉水温度の管理上問題ない。

※原子炉保護系:機器の動作不能、または操作員の誤動作等により原子炉の安全性をそこなうおそれのある過渡状態が生じた場合、あるいは予想がされる場合、原子炉をすみやかに緊急停止(スクラム)させる装置。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

6号機

新規事項なし

・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス揚水井の状況

新規事項なし

※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
5月29日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

1~4号機タービン建屋東側の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

1~4号機サブドレン観測井の状況

新規事項なし

地下貯水槽の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月30日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年5月30日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太