初夏、禁伐の森を歩く ~函南原生林 [前編]~

函南原生林にて

新緑美しい5月。ふと、森を歩きたくなった。

調べてみると、車で30分ほどの場所に、原生林があるというので、昨日5月18日(日)に訪れる。森の名は、禁伐の森とも呼ばれる「函南原生林」である。

原生林とは。天然林と原生林の違いについて

これまで、「原生林」という単語を何度も耳にしてきたが、「手つかずの自然の森」という漠然とした意味でしか捉えていなかった。

先日、植林について調べていると、森は大別して「人工林」と「天然林」があり、「原生林」は、天然林の一種であること知った。

「人工林」とは、人が植林した森であり、人間の手で育てられている。日本の森の約4割を占めているそうだ。一方、「天然林」については、一意的な定義はなく、一般的には、伐採などで人の手が入っても、自然の力で更新されている森のことをいうそうだ。「里山」も、天然林である。

天然林のなかでも、これまで人の手が入らず、災害などでも破壊されていない森のことを「原生林」という。しかし、全く人の手が入っていない森は、日本にはほとんど残っておらず、広義では、計画的に伐採されたことがなく、かつ近年に顕著な被害を受けていない森林も原生林としているようである。日本の原生林のほとんどが広葉樹の森であり、その数は少ないという。

禁伐の森・函南原生林

「函南原生林」は、静岡県・函南町の北部にある。熱海峠と箱根峠を結ぶ静岡県の県道20号西側、標高550~840mの山腹(富士箱根ランド南側付近)に広がる森である。その広さは、東京ドーム約48個分にあたる223ha。アカガシ、ケヤキ、ブナ、ヒメシャラなどのが広葉樹が生えており、林野庁のWEBサイトでは、下記のように説明されている。

函南原生林(※写真中央部に写っている針葉樹の林は除く)
この森は温帯林と暖帯林の接点に当たり、多種類の樹木が生育し、大木が多く見られます。藩政時代から「生立木は絶対に伐らない」という施業方針のもと、厳重に保護されてきました。そのため、原生林の様相を今でも保持しています。

引用元:林野庁/54 函南原生林

原則として、貴重な森を保護するために入山は禁止されているが、「函南原生林の意義、歴史、動植物などの学習のため」、「自然環境の保全、保護の啓蒙の場とする場合」などは、原生林内にある「観察路のみ歩くこと」などの規則を守ることを前提に、入山を認められている。

函南原生林の入口について

函南原生林の主な入口は、次の3ヶ所がある。1つ目は、ドライブイン湯河原峠から、県道20号を熱海峠方面へ1㎞ほどいった場所にある「県道側入口」。2つ目は宿泊・レクリエーション施設「富士箱根ランド」の裏側奥にある「富士箱根ランド側入口」。そして、3つ目は、函南町原生の森公園にある「原生の森公園側入口」である。私は「原生の森公園側入口」から入ることした。

「函南町原生の森公園」は、大きな池を中心に配置した造りとなっており、緑豊かな公園である。休日の午後、ゆっくりしたくなるような落ち着く場所である。お弁当を持ってきて、歩き終わった後、ここで食べるのもいいかもしれない。
公園には、トイレがあり(4月初旬から11月下旬までのみ使用可能)、駐車場は、普通車のみだが、39台停めることができる。園内は、火器厳禁となっている。

函南町原生の森公園

函南町原生の森公園

原生の森公園内にて撮影

初夏、禁伐の森を歩く ~函南原生林 [後編 ] へ続く~

参考WEBサイト

Text & Photo:sKenji