2014年5月24日 今日の東電プレスリリース

地下水バイパス実施前後のサンプリングでは数値が示されず。「大きな変動は確認されていない」との言葉が並ぶ日報

5月24日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

地下水バイパス、第一回目の海洋排出の続報

海洋排水を行った排水口付近のサンプル分析結果について続報

地下水バイパス 排水時の様子(東京電力のHPより)

photo.tepco.co.jp

同日、この際の南放水口付近およびC排水路排水口付近のサンプリングを実施。南放水口付近の海水については、排水前、排水中、排水終了直後および排水終了1時間後にサンプリングを実施し、有意な変動は確認されていない。C排水路排水口付近の水については、近傍の定例サンプリング箇所の分析結果と比較して、有意な変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

具体的な数値は公開されていません。H4タンクエリアでの漏水で汚染水が流出して以来サンプリングが行われている「南放水口付近」「C排水路」のデータでは、21日採取分、22日採取分ともいずれもND(検出限界未満)でした。ただしこのサンプリング検査ではトリチウムの値は掲載されていません。

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月17日午前9時57分~)

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月19日午前10時6分~)

※使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。
<最新の作業実績>
5月17日午前11時7分起動(起動後の温度:24.4℃)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス揚水井の状況

※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

揚水井戸のサンプル検査ではなく、サブドレン。建屋近傍のどのサブドレンについてのサンプリングなのか、記載では不明。

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では2.7cmの上昇。引き続き監視を継続。
5月24日午後2時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ20.3 cm(4月14日移送停止後と比較し、2.7cm増)
・工作建屋:5月16日午前10時30分、回収作業が完了。

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

昨日分と同じコメントを寄せたい。
ポンプを停止して40日以上。蒸発で水位が減るのではなく、2.7センチの上昇。水位上昇には、水そのものの膨張や、何らかの原因による建屋そのものの収縮などさまざまな要因が考えられるだろうが、もはや「見守る」段階は過ぎているのではないだろうか。

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
5月23日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

1~4号機タービン建屋東側の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

1~4号機サブドレン観測井の状況

新規事項なし
「地下水バイパス揚水井」の項目で記載があったサブドレン水サンプリングとの関連はあるのだろうか?

地下貯水槽の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年5月24日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年5月24日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太