ガレキと呼ばないで(大槌町役場のニコンFM2)

この写真は2014年の元日に撮影したものです。

同じカメラを持っていました。ニコンFM2。当時のフラッグシップ機に匹敵する性能をコンパクトなボディに凝縮して、たしかにペンタプリズムの交換ができなかったり、外付けモータードライブの性能が劣っていたりはしましたが、F3を上回る1/4000シャッターやストロボのシンクロ同調速度を1/250秒まで高速化され、このカメラでなければ撮れない世界を実現してくれた名機です。

持ち主はきっとこのカメラに惚れ込んで購入したんだろうなと思います。あの時代にオートフォーカスレンズを付けてるくらいだから、若者が使っていたのかもしれません。

でも、こんなことがあり得るとは。

レンズの内部まで泥が詰まっています。割れたガラスは後から付けたフィルターで、肝心のカメラレンズ自体は失われているようでした。

過酷なプロユースに耐える堅牢な作りが売りだったニコンのカメラ。たしかにボディは頑張ってくれたようですが、機能は失われているのに、物質としてのみ形状を崩さぬように踏ん張っている姿が却って辛くなります。

繰り返しますが、この光景は2014年の1月1日に撮影したものです。

旧・大槌町役場で、2014年のお正月に撮影したものです。

復興は進んでいると信じられますか?

報告●井上良太