風の谷のナウシカのモデル?【パキスタン・フンザ】

スタジオジブリが1984年に制作したアニメーション映画『風の谷のナウシカ』。このアニメの中心的な舞台となっているのが『風の谷』という小さな村。宮崎駿監督は「風の谷は中央アジアの乾燥地帯をイメージしている」と述べています。しかし、作品のモデルにされている場所は、この他にも世界各地に存在していると噂されています。 

一つ目はパキスタンのフンザという場所。フンザはパキスタン・イスラム共和国北西部に位置する地域です。6000m、7000m級の山々に周囲を取り囲まれた痩せた土地に、雪解け水を利用した段々畑と、石造りの簡素な家がぽつぽつと立ち並ぶ、とても小さな農村です。渓谷の間に挟まれた美しい農村地帯はまさしく『風の谷』のイメージにピッタリくる景色ですね。  

二つ目はウクライナ、クリミア半島にあるシュワージュという場所。ここは劇中に登場する『腐海』と呼ばれる森のモデルとなっているのはないかという説があります。クリミア半島の海岸は浸食されて入り江となっており、ペレコープの東からアゾフ海にかけて干潟になっています。地元に住む民族は、この干潟のことを俗称として腐海と呼んでいます。アニメで使われている『腐海』という言葉が実在することに驚きました。  

クリミア半島の山岳地帯には1000以上もの鍾乳洞窟が存在してる言われています。その中には東ヨーロッパで最大の洞窟であるクラースナヤ洞窟や、世界で最も美しい洞窟の一つと言われているムラモルナヤ鍾乳洞などが含まれています。その光景は腐海の底にある洞窟にとてもよく似ています。この地が腐海のモデルであるという説もうなずけますね。  

三つ目はオーストラリア国立公園にあるマウント・オルガという場所です。エアーズロックの西、総面積約35キロ平方メートルに渡って広がる、大小36個の岩から成る奇石群です。最も高い山は、エアーズロックを更に200メートルもしのぐ高さ。この36個の岩山の間に常に風が吹き抜ける場所があり、そこはバレー・オブ・ザ・ウインドウ、日本語で『風の谷』と呼ばれいます。展望所では、巨大な岩山からこの世のものとは思えない幻想的な景観を楽しむことができるそうです。『風の谷』と呼ばれる場所が実在したんですね。  

30年近くたった今でも根強い人気を誇る『風の谷のナウシカ』。人気の秘密は作品に含まれたテーマの普遍性によるところが大きいと言われています。人間と自然の関わり、終わりなき権力闘争、行き過ぎた文明の末路など、内容は奥が深く、さまざまに読み解くことができます。舞台のモデルとされている場所に、一生に一度は訪れてみたいもの。作品が意味する真のストーリーを肌で感じることができるかもしれません。