世間に知られることなく夭逝した天災数学者
人類を大きく前進させる天才たち。常人では考えられないような創造的な仕事をし、人々を次なる段階へと推し進めてくれます。レオナルド・ダビンチやエジソンなど、有名な天才たちのほかに、輝かしい功績を残しながらも生前、光が当たることがなかった天才たちもたくさんいます。26歳でこの世を去ったノルウェーの天才数学者、ニールス・アーベルもその一人です。アーベルは中学生までは普通の生徒でした。アーベルが才能を発揮し始めたのは高校生から。数学に興味を持ち始め、あれよあれよと大学の数学を理解しました。そして、数学の面白さに取りつかれたアーベルは数学の難題に挑戦。
22歳のときに、「5次以上の一般方程式は、代数的に解くことができない」ことを証明したのです。実はこの難題は300年間にわたって誰も解くことが出来ないものでした。このほか、アーベルは、積分・関数・多様体・幾何学の分野で数多くの業績を残しています。さぞや、アーベルは大学の教授にでもなって、研究に没頭した生涯を送ったと思うでしょう。ところが、アーベルが、雑誌に掲載した論文に対し、ガウスは不快感を表し、コーシーは放置するなど、不当な扱いをされたのです。しかし、この論文こそ、将来500年分の仕事をしたとまで言われる大論文だったのです。
そうやって、世に無視されるかたちで、登場した論文も、やがて日の目をみることになりますが、その頃にはアーベルは肺結核で無くなっていました。大学教授として迎え入れるという通知が届く2日前のことでした。