【明治三陸津波120年】120年前はほんの昨日 iRyota25 2016.06.17 1 10,112 0 明治29年6月15日午後7時32分、岩手県釜石市東方約200kmを震源とするマグニチュード8.5クラスの巨大地震が発生。この地震によって発生した津波は、海抜38.2mという当時の観測史上最大の遡上高を記録し、岩手県、宮城県、青森県の沿岸部を中心に甚大な被害をもたらした。 ——と
【津波避難】女将が生き延びた宝来館の避難路 iRyota25 2016.06.24 4 9,387 0 海岸から溢れた津波が旅館の駐車場に迫る。一度は避難したのに、近所の方を心配して山を下りた女将に、「逃げろー!」高台に避難した人たちの絶叫のような声が響く。津波到来時の動画で日本中の人に知られることになった釜石市根浜海岸の料理宿「宝来館」。再建なった旅館の裏
【遺構と記憶】気仙沼向洋高校に刻まれた津波の記憶 iRyota25 2016.03.17 7 8,387 0 気仙沼向洋高校は20世紀最初の年、1901年に開校した宮城県立の高等学校。水産教育を中心に、地元の産業を支える人材を輩出してきた伝統校だ。 校舎は気仙沼市南部、リアス式海岸や潮吹岩で知られる岩井崎やお伊勢浜海水浴場の近くにあった。海岸からは500メートルも離れていな
【遺構と記憶】気仙沼に打ち上げた大型漁船 iRyota25 2014.12.26 4 7,915 0 その船を最初に見た時の衝撃を忘れない。気仙沼の港沿いから鹿折駅方面へのカーブを左に曲がってほどなく、その船が見えてきた。津波被害を受けた建物の片づけが進み、残されたコンクリートの基礎くらいしか町の痕跡が分からない荒涼とした風景。コスモスと、あとはたぶん塩害
鉄人の目に涙はない iRyota25 2016.06.05 4 7,511 0 阪神淡路大震災で大きな被害のあった神戸市・新長田の駅近くに、鉄人28号のモニュメントがある。復興を目指す神戸のシンボルとして建てられたものだ。 新長田に登場した鉄人28号の勇姿 それにしても、この存在感はすごい。圧倒的だ。そして驚かされるのは、どんな角度から見て
【遺構と記憶】女川・江島共済会館がほぼ解体される iRyota25 2015.01.07 5 6,734 0 年末年始の休暇中、久しぶりに訪れた女川の町で驚いた。女川町立病院(現・地域医療センター)の駐車場から道を隔てた目の前にあった、津波で倒されたビルの姿が消えていたのだ。 12月11日から始まった解体工事は、年末の時点でこの進捗状況。すでにビルがあったとは思えない
【遺構と記憶】旧・野蒜駅ホームが震災遺構に iRyota25 2015.07.31 3 6,325 0 5月30日に全線で運行が再開されたJR仙石線。とくに津波被害が大きかった野蒜(のびる)駅と東名(とうな)駅は、500m~600mも山側に移動し、該当区間の線路も移設された。もう二度と列車がやってくることがなくなった旧・野蒜駅だが、東松島市はこの駅のプラットホームを震災
大川小学校と門脇小学校、震災遺構として保存へ【石巻】 iRyota25 2016.03.25 11 6,136 0 3月25日、「門脇小 大川小 被災2校舎とも保存へ 亀山市長 あすにも表明」と石巻日日新聞が伝えた。記事の冒頭を引用すると―― 石巻市の亀山紘市長は、東日本大震災で被災した門脇小学校と大川小学校の校舎を保存する方針を固めた。26日午後にも記者会見を開いて表明する。亀山
【遺構と記憶】原爆を投下されなかった町 iRyota25 2016.06.06 7 5,886 0 その町には20世紀の終わり頃まで、戦前の軍需工場が残っていた。私が通った小学校はそのすぐ隣にあり、小学校に面する北よりの地域はちょうど小学生だった1970年代初頭に解体工事が進められ、跡地には公園や行政機関の建物が建設されたが、より南側の地域は80年代まで残されて
【遺構と記憶】高田松原道の駅「タピック45」 iRyota25 2015.02.13 2 5,311 0 国道45号線沿い、陸前高田の高田松原側にあった「道の駅 高田松原」は東北随一、広さ4ヘクタールを誇る道の駅でした。直売所などの店舗やインフォメーションのほか、うごく七夕やけんか七夕の山車も展示されていたそうです。 三角形の建物が印象的な「タピック45」は道のシン
「奇跡の集落」吉浜に建てられたいくつもの記念碑 iRyota25 2016.06.13 3 5,257 0 岩手県気仙郡吉浜村。現在の大船渡市三陸町吉浜は「奇跡の集落」と呼ばれている。奇跡と称される理由は2つある。ひとつは東日本大震災の巨大津波の被害を受けながら、地域の人的被害は行方不明者1人にとどまったこと(隣の越喜来集落の老人ホームに入居していた11名が亡くなっ
【遺構と記憶】メリケン波止場の震災遺構【神戸】 iRyota25 2016.04.07 3 5,196 0 元町駅から海に向かって歩いて行くと、ポートタワーや海洋博物館、ホテルオークラが立ち並ぶ、いかにもいかにも神戸らしいメリケンパークまでは徒歩10分ほど。寒い冬の夕方でも家族連れや恋人たちが散歩するこのエリアの一角に、不思議な景色が広がっている。 地割れで陥没し
未来への伝言「越喜来の潮目」の2016年6月 iRyota25 2016.06.24 7 5,119 0 この日も越喜来の「潮目」は健在だ。潮目はまるで秘密基地のような場所。高い塔が空に向かって背伸びする。ジャバラパイプの滑り台がある。ボートを使ったブランコがある。建物の中には秘密のトンネルもある。 まるで子どもたちの夢を形にしたみたいな秘密基地のほぼすべてが
【遺構と記憶】南三陸町の防災庁舎が保存の方向へ iRyota25 2015.06.22 4 5,090 0 あの建物が遺構として保存される方向に動き出しました。 あの建物とは、南三陸町の防災対策庁舎です。津波が町に押し寄せる中、避難を呼びかけ続けて犠牲になった町職員の遠藤未希さん、三浦毅さんの「命がけのアナウンス」で知られる建物です。 宮城・南三陸町防災対策庁舎
【遺構と記憶】南三陸の防災庁舎2016年 iRyota25 2016.02.05 2 4,890 1 南三陸町、志津川の町を車で走ると、別の世界に来たような気持ちになる。夜中に走っていると、まるで海の上を走っているかのような錯覚に囚われてしまう。それくらい、町のかさ上げは高い。かつて町があった場所には、まるで中央アメリカのピラミッドを思わせるような高い盛土
【遺構と記憶】陸前高田の集合住宅 iRyota25 2015.01.20 2 4,822 0 国道45号線の沿線にたっていた5階建ての集合住宅2棟。海側の1棟は4階までが、ベランダから玄関まで津波でうち抜かれていた。人の姿がほとんど見られない高田の町で、津波の威力と想像を絶する恐ろしさを静かに物語り続けている。 震災後の陸前高田に残された衝撃的な建物は「
【遺構と記憶】震災遺構の保存、地元と市民に意識の差 iRyota25 2015.12.25 1 4,014 0 鹿折の道を走っていると、どうしてもその船を目が探してしまう。もう解体されてから2年以上になるのに、どうしてなのかその船を探さずにはいられない。 あの日、渦巻く怒濤となって鹿折の町を呑み込んだ津波に乗って、何十艘もの漁船が町に流れ込んだ。巨大な漁船は津波ととも
【遺構と記憶】がれきがなくなるとは? 2013年12月30日の大槌町 iRyota25 2014.01.22 2 3,809 0 2013年の年末、岩手県大槌町に行った。約1年2カ月ぶりだった。 上の写真は津波に持って行かれた住宅の跡地。まだ新しそうなコンクリート基礎の天端に、上屋を固定していたはずのボルトだけが残されている。(ここにはどんな家が建っていて、どんな人たちが暮らしていたのだろ
東日本大震災・復興支援リポート 「ここで何を感じるのか――南三陸」 iRyota25 2012.11.08 3 3,354 0 2012年10月24日の防災対策庁舎 大型観光バスで、貸切のマイクロバスで、そして自動車やバイクで、今日もここに人々が集まってくる。 南三陸町、旧・志津川市街地に残る鉄骨の骨組み。周辺では建物残骸の撤去が進み、防災対策庁舎は廃墟の中で孤立しているように見える。 町の
【遺構と記憶】神戸の壁のベンチ iRyota25 2016.06.03 1 3,268 0 現代アートなのかと思ったら、それは震災遺構だった。 設置されているのは、神戸市中央区の海辺に震災後に新たに作られた街、HAT神戸にある「人と防災未来センター」の前。プレートにはこう記されている。 「神戸の壁」ベンチ 1927年に建てられた新長田・若松市場の防火壁が阪
【遺構と記憶】東日本大震災で再び姿を現した吉浜の津波石 iRyota25 2016.06.13 1 3,208 0 その日、数時間前に堤防で 震災当時82歳だった柧木澤(はぬきざわ)正雄さんは、同年代の男性3人で、午後2時頃から3時頃まで海岸の防波堤を散歩するのが日課だった。2011年3月11日、その日に限って午前中に出かけると、2人のメンバーもその時間に来ていた。言い合わせた訳で
一本松をうたいあげる歌碑「孤松巌上」 iRyota25 2016.06.19 3 3,056 0 震災遺構として保存されている陸前高田市の旧道の駅「タピック45」前広場に、奇跡の一本松を歌い上げる歌碑「孤松巌上」が設置された。 「孤松巌上」は陸前高田市出身の歌手、千昌夫が2011年に発表した「いっぽんの松」を作曲した船村徹氏の揮毫によるもの。 歌碑の台座には「
【遺構と記憶】かさ上げに囲まれていく南三陸の防災対策庁舎 iRyota25 2015.01.30 2 2,872 0 昨年末、久しぶりに訪問した南三陸町の防災対策庁舎。玄関とは反対側からの姿です。以前は入れた庁舎前への道は閉鎖され、正面からは入れません。写真では見えにくいのですが、防災庁舎のすぐ近くまで盛土のかさ上げが迫っています。 スマホのカメラの広角レンズなので、かさ
海辺の地をゆく「気仙沼・岩井崎」 2013年4月17日 iRyota25 2013.05.31 5 2,810 0 2013年4月17日(769日目)の宮城県気仙沼市・岩井崎 陸中海岸国立公園の最南端、豪快な潮吹き岩で知られる岩井海岸。 三陸のリアス式海岸を縫って走る国道45号線沿いを走ると、たくさんの観光看板のお出迎えを受ける。 しかし、あれだけの大震災だ。しかも1m近い地盤沈下。潮吹
山門の二体の像が語ること【釜石市・石応禅寺】 iRyota25 2016.06.10 3 2,714 0 釜石市大町、イオンタウン釜石からも近い街の中心部に位置する古刹「石応禅寺」。山門の両脇には二体の地蔵菩薩像が半跏のポーズで鎮座している。青銅製の菩薩像の横に建てられた石柱には「津内到達の地」。さらに、「今次の震災が永久に教訓と成ることを願ってこの地に建立す