近所のショッピングセンターの一角で、『化石の世界』という展示をやっていました。
本当に小さなスペースなのですが、ただ並べるだけでなく見せ方が非常に素敵だと思い主催団体を調べると、『ふじのくに地球環境史ミュージアム』と書かれています。
どうやらミュージアムがあるようなので、行ってみることにしました。
廃校をリノベーション
昭和58年開校の高校ですが、比較的きれいな校舎でした。
住宅地を抜けた高台にあり、駐車場も十分確保されています。
学校がミュージアムになっているなんてちょっとワクワクしますよね。
展示方針もすごく素敵なんです。
ふじのくに地球環境史ミュージアムは、考えることで気づく驚きや発見を大切にした「思考するミュージアム」がコンセプトです。美術館で作品を鑑賞するように、まずは展示とじっくり向き合い、考えを巡らせながら見ていただきたいという想いから、解説文は極力少なく、展示ラベルの大きさも控えめにしてあります。わからないことや疑問に思うことはどんどんスタッフに尋ねてください。話し合いながら考えることで、新たな驚きや発見につながるかもしれません。そして、自身の思考を拓いて、自分なりの考えを探し出してみて下さい。
引用元:常設展 | ふじのくに地球環境史ミュージアム Museum of Natural and Environmental History, Shizuoka
展示室3「ふじのくにの海」
非常に印象的だったのがこの展示室「ふじのくにの海」です。
壁を青と白で分けて水中を表しているようです。
ここには日本一深い駿河湾の多種多様な生物が展示されています。
学校の備品の机を組み合わせて、ちょっとしたオブジェのようになっています。
中に展示されているものは桜えび以外は全て本物とのこと。
私はてっきり紙粘土で作られているのだと思っていました。。。
下から覗いてみるとリアルな歯が!!!
本物のようです。
ミュージアムサポーターが展示室の前にいらっしゃって、色々お話をしてくれるのも面白いです。
真ん中の標本は海底深くに生息する生物とのこと。
この生物は地下から湧き出る硫化水素をエネルギー源とする細菌を体内に共生させて栄養を得ているそうなのです。
『JAMSTEC』という研究機関から提供されていて、ここにある展示の中で一番珍しいものらしいです。
全く知らなかったのですが、『JAMSTEC』は海洋の研究をするとりあえずすごい機関だそうです。。。(ちょうどテレビでJAMSTEC提供写真が出てきて家族で盛り上がりました。)
駿河湾の深さ、神秘的な部分を堪能することが出来る展示室です。
廊下にはオンデンザメの標本が。
200mから深海と言われていますが、このサメの生息水域は浅海〜2,000 mとかなり深くまで潜っているようです。すごい。。。
展示室8「生命のかたち」
この部屋も非常に面白いのです。
人間の骨意外は全て本物で、肉や皮のついていない状態の動物が整然と並ぶ姿がなんとも奇妙です。
骨状態のイヌとキツネの見分けがつかないという娘の発言から、どんなところが違うか見つけ合いました。
体格とか首の位置とか頭の大きさとか違うのですが、骨だとよく見なければ違いが分からないんです。
でも骨だけで見比べるから、余計な視覚情報がなくて分かりやすいとも言えるかもしれません。
骨折が治癒して骨が太くなった痕跡なども見ることが出来、そんなところからもこの動物たちは生きていたんだ実感できます。
地球家族会議
このミュージアムでは地球家族会議と呼ぶ対話型の展示を行っています。
地球環境リスクの一つをテーマとしてインタープリターが進行役となって考えていきます。
今回は「金属資源」について話をしました。
限りある資源を「使わない」のではなく「うまく使う」ためにどんなことをやいくか、どんな工夫がされているかを知りました。
まとめ
最後に置いてあった問いかけに、子どもたちがコメントを書いていました。
静岡の自然を手がかりに、地球環境を考察することのできるミュージアムでした。
方針にもあるように解説文から情報をインプットするのではなく、展示にあるヒントから自分で気づいて考え、ミュージアムサポーターとの対話で知る。
展示とも人ともコミュニケーションがとれるミュージアムです。
残念ながら現地に行けない。
そんなときはバーチャルミュージアムでも楽しむことが出来ますよ。
ふじのくに地球環境史ミュージアムは、県立静岡南高校をリノベーションしてつくった博物館です。
廃校を利用した学校リノベーションは、少子化の進行とともに全国的に増加していますが、そのほとんどは小中学校であり、高校をリノベーションした博物館は大変めずらしい事例です。