早いもので今年も残り1週間・・・。
我が家では、この時期になると自分の家と、実家、義実家の年賀状作成と大忙しです。それと同時に、今年は自分、妻、父、義父の確定申告の他に、長崎から来た祖母の確定申告が待ち受けています。
そんなわけで、実家から祖母の確定申告の手伝いをしてほしいと言われ、少し早いですが祖母の確定申告の資料の準備に取り掛かることにしました。
契約書がない!
今年1人暮らしの祖母は、高齢のため長崎から静岡へ引っ越してきました。そのため、住居と所有していたアパートを処分することとなりました。
今回は、そのアパートの処分のおはなしです。
不動産を譲渡した場合、その翌年の確定申告で譲渡所得(売却益)の申告をする必要があります。譲渡所得は、売値から買値を差し引いて課税所得を算出するため、譲渡した不動産の買値が分かる資料が必要となります。
一般的には購入当時の不動産売買契約書がその資料となりますが、祖母はバタバタして引っ越してきたため、契約書が見つかりませんでした。買値が分かる資料がなくその価格の証拠になるものがない場合、税法の規定により売値の5%を買値とすることができます。
しかし、売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、 買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。
(例)アパートの土地の買値2,000万円 売値1,000万円 所有期間30年
(1) 購入価格の分かる資料がある場合
税金 0円
(2) 購入価格の分かる資料がない場合(買値を売値の5%で計算)
税金 約193万円
この規定を適用すると、たった1つの資料がないだけで、余計な税金を200万円も払わなければいけません。購入したのはバブル期だったこともあり、国土交通省や都道府県が公表している当時の近隣の地価公示情報を見ても明らかに売値より買値の方が高いです。
そこで、契約書以外に購入価格が分かりそうな資料を探してみました。
・領収書
・当時の通帳
・手書きのメモ
・購入当時のチラシやパンフレット
・登記簿謄本
・確定申告書
この中で見つかったものは、当時登記所から発行された登記簿謄本だけでした。しかし、そこには購入金額が分かる情報は書いてありませんでした。
ちなみに、もう一方の契約書を持っている契約相手の不動産会社はすでに倒産していました。銀行にも、通帳の情報はすでにありませんでした。
税務署に過去に提出した申告書の情報開示、閲覧請求も可能ですが、国税庁の確定申告書の標準的な保存期間が7年のため現実的ではありません(あるとき税務署にもう不動産所得の申告をしなくていいと言われ、祖母はずっと申告もしていなかったらしいです)。
当時の買値の証拠になる資料がない場合、買値を合理的に求めることができれば税務署に認められるケースがあります。そのため、あとはお金を払って不動産鑑定士にお願いをして、当時の買値の合理的な金額を鑑定評価してもらうしか対処方法がありません。
重要書類は大切に保管しましょう!
最近、断捨離が流行っていますが、大きい買い物をしたときはメモでもチラシでも、いらないと思って捨ててしまわないようにした方がいいと教訓になりました。
自分だけでなく、親や祖父母についても資料がちゃんと取ってあるか心配な方は、一度確認をして失くならないように厳重に保管することをお勧めします。いま役にたたなくても、必要な時が来たとき(もしかしたら自分の死後かもしれません)に困らないようにしておいてください。念のため、写真をとってデータとして保管しておくのもいいと思います。
もし資料が見つからなかった場合は、すぐにでも再発行の手続きや、購入先に契約書などの資料のコピーをとってもらうようにしましょう!