インターネット上で見つけた誤字を拾っていこうという企画ページの3回目です。
といっても今回はこんなものから始まります。
誤字じゃないけど(その1)
ニュース見出しの2行目に
ゴーン前会長の流用、国税局が認める
というのがあります。なんとなく「日産のゴーン前会長が会社のお金を流用したが、国税局が容認した」みたいに読めてしまいそうですが、決してそうではありません。記事を読むとわかります。
4行目に「日産の経費に当たらないと認定」という記述がありますね。「認定」という言葉を聞くと「容認≒許された」と解釈してしまいそうです。でもこの文脈からもわかるように、税務署や国税局が調査に入った結果用いる「認定」というのは決していい意味ではありません。
記事のいちばん下には「経費と認めなかった」とありますが、国税局的な文法では「経費ではないことを認める⇒経費に当たらないと認定」といった感じになります。「経費に当たらない」のですから、日産は法人所得が増えてその分の税金を払う必要があります。
さらに「ゴーン氏の私的流用」と認定されたこのお金はおそらく「ゴーン氏への役員賞与」とされ(これを認定賞与といい、上にあるように法人税を計算するときの経費に当たらない)、源泉徴収義務者である会社はその個人所得税も支払わなければならないのです。これを業界では「往復ビンタ」といいます。
ニュース見出しを作る担当の人は字数に制限があるなかで「少しでもわかりやすく」に心を注ぎます。だから「認定」を「認める」と言い換えるのは自然なことではありますが、法律用語・お役所ことば独特の意味・ニュアンスまでは表現しきれない時もあるわけです。
いきなりお堅い話題でスミマセン、次からは気楽なヤツです。
誤字じゃないけど(その2)
俳優の椎名桔平さんと女優の山本未来さんが離婚したという記事が掲載された時、ツイッター界隈では「おもんぱかった」というワードがバズりました。こんなふうにです。
おもん ぱか・る [5] 【慮▽る】
( 動ラ五[四] )
〔「おもいはかる」の転。「おもんばかる」とも〕
あれこれ思いめぐらす。考慮する。
誤字でもなんでもないのですが、聞いたことのない若い人たちにとって、離婚という決してめでたくはないニュースに踊る「おもんぱかった」というひらがなの列が面白かったのでしょう。
「ぱか」っていうのがねえ(^_^;)「ぱぴぷぺぽ」が入ると見た目も響きもポップになっちゃいますね。
おれが役者で役者がおれで
1文めの文章ちょっと変ですけどそれはさておき、見出しでは「筒井康隆」だったのに本文では「作家の筒井道隆」になっています。
SF界の巨匠「作家の筒井康隆」がツイートしたのか、ひと昔前は主役級もバンバン務め、いまはナレーターとしても活躍する「俳優の筒井道隆」がツイートしたのか。正解は作家の筒井康隆氏でした。
実は筆者、筒井道隆さんは筒井康隆さんの息子さんだと思い込んでいましたが、まったく関係ないそうです。筒井康隆さんが作家でありながら俳優もこなすところがまたややこしいんですよね。
刺すにブルー
これはネタでしょう、ね。
200歩譲って「刺青」を「さしみ」と読んでしまうことはあるかも知れませんけど、「いれずみ」って読める人が「さしみ」って入力するとは思えませんからね…。
なんて「わかった気になるのは傲慢」なのでしょうか、ごめんなさい(^_^;)