10月17日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
・FSTR建屋から4号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
【解説】4号機の「FSTR建屋から4号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中」の記載は変わらず。断続的という表現はたしかに運転したりしなかったりということだが、すべてが同様の発表になってしまえば、事故原発の状況について情報公開している意味がなくなってしまう。
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備運転中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBから海洋排水を停止。排出量は905トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの当社および第三者機関による分析結果[採取日10月6日]については同等の値であり、運用目標値を満足していたことから、10月16日午前10時13分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、午前10時35分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後4時26分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は905m3。
地下水バイパス 揚水井No.10のトリチウムは1リットルあたり2,000ベクレルと高い水準で横ばい
◎日報に新規事項の記載なし
地下水揚水井No.10のトリチウム濃度は2,000Bq/Lと高い水準で横ばい
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月16日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/9 10/10 10/11 10/12 10/13 10/14 10/15
E-1 23,000 19,000 16,000 17,000 17,000 11,000 9,500
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0
【解説】E-1の全ベータ濃度が久しぶりに1万ベクレルを下回った。71万ベクレルという過去最高値(2013.11.10)に比較すれば大幅な低下だが、約1万ベクレルという全ベータの値は、まだまだ極めて高い状態だ。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/9 10/10 10/11 10/12 10/13 10/14 10/15
G-1 1,900 1,300 1,400 1,500 1,200 1,300 740
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 10/9 10/10 10/11 10/12 10/13 10/14 10/15
G-2 790 620 740 590 600 530 510
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0 0.0
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.1-17でマンガン-54が過去最高値
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
<過去最高値>地下水観測孔No.1-17
マンガン-54:0.56Bq/L(2015.10.16)
これまでの最高値:ND
※マンガン-54は鉄に中性子を照射することでできる放射化生成物。原子炉内では原子炉内の一次冷却水に含まれる鉄からも生成される。半減期は短めで312日。微量とはいえ原子炉内で生成される物質が検出されたことは注目される。過去には、地下水観測孔No.0-3-2、No.1、No.1-1、No.1-2、No.1-6、No.1-8、No.1-14、No.1-16、1,2号機間改修ウェル、No.2-3、No.2-5、No.3-4で検出されている。タービン建屋東側全体でのこれまでの最高値は地下水観測孔No.1-6での「700Bq/L(2014.10.13)」
今回の発表で、新たに13番めの観測点で、原子炉内部に由来する可能性があるマンガン-54が検出されたことになる。
ページ下に原子力資料情報室の「原発きほん知識」へのリンクを紹介した。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。