7月の3連休、東京都神津島村にある天上山に登りました♪
この登山の際に少し変わったトイレを見つけました。
場所は天上山の広い山頂、不動池と呼ばれる同山最大の池の近くです。いったいに何が普通のトイレと異なるかというと・・・。
最初に言葉で説明するより、まずは次の写真を見てもらった方が早いかもしれません。
写真左側にはどこにでもある普通の便座があります。そして右側には通常のトイレでは見かけないものが設置されています。
そう、自転車(のようなもの)です!
中に入って目にした時はびっくりしました(笑)
いったいなぜこんなものがトイレに・・・。最初はそう思ったのですが、近くにあった解説を見て納得です。
不動池のトイレはバイオトイレだったのです。そして、自転車はこのバイオトイレに欠かせないある作業を行うための装置でした!
環境に優しいバイオトイレ☆
少し話が横にそれてしまいますが、一般の家庭はもちろんのこと、ビルや商業施設、公園などでもまず見かけることがないバイオトイレについてご紹介します。
バイオトイレは簡単に言ってしまえば、微生物によって排泄物を分解して処理するトイレです。
日常ではあまり馴染のないこのトイレ、写真を見ていただければわかるかもしれませんが一見、汲み取り式のようにも見えます。
しかし、排泄物を汲み取る必要はありません。しかも水洗トイレのように流す水も必要ないのです。
排泄物はその多くを水分が占めています。バイオトイレの便槽にはオガクズなどが入っており、糞尿の水分を吸い取ります。その水はやがて蒸発して空気中に放出されます。
水分以外の排泄物は、微生物によって水と二酸化炭素に分解されます。窒素やリン酸など、一部は分解されずに便槽に残りますが、これらはオガクズに吸着します。オガクズは年に2~3回ほど交換するのですが、肥料として使うことができます。利用しない場合には地面に巻くと土に還りますし、ゴミとして処理する場合は可燃ごみとして処分することができるそうです(※自治体によっては処分できない場合有)。
バイオトイレはこのように「水を使わない」、「汲み取り不要」、「肥料として使える」といったほかにも「いやな臭いがほとんどしない」という特徴もあり、下水処理環境が整っていない山小屋などに導入されている、環境に優しいトイレです。
天上山・不動池の自転車の正体
バイオトイレはタイプによって異なりますが、酸素を好む微生物を活性化させるためにときおり、オガクズを撹拌(かくはん)させて空気を送り込む必要があります。
通常、かき混ぜは用を済ませた後にボタンを押し、電気の力でモーターを回して行うものが多いのですが、不動池にあるトイレは人間が自転車(のようなもの)を漕ぎ、その力をチェーンやシャフトを介してオガクズ内にあるスクリューに伝え、撹拌させる仕組みだったのです!
かき混ぜ作業は、サドルにまたがりペダルを最初に前方へ20回。その後に反対に10回漕いで完了です!
ペダルは思ったより軽く、女性や小学生でも漕ぐことができます。
トイレのなかで自転車を漕ぐ登山者・・・。
後で考えるとちょっと滑稽な光景ではありますが、人間の力を利用したシンプルで壊れにくいであろうこのシステムはとても実用的で感動的ですらありました。
天上山・不動池にあった人力撹拌装置つきのバイオトイレ。ぜひ普及してほしい少し変わった環境に優しいトイレでした☆
神津島・天上山
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji