7月30日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 情報を追加して更新します
タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送自動化に向けた試験を実施。期間は約3週間
※現在、滞留水移送装置は運転員が移送ポンプを現場で手動操作して移送しているが、建屋滞留水の水位制御の向上や運転員の被ばく低減等を目的とする自動運転*1の滞留水移送装置の1~4号機各建屋(タービン建屋、原子炉建屋、廃棄物処理建屋*2)への設置が完了したことから、7月30日午前10時より3週間程度かけて、実際の建屋滞留水を用いた系統性能試験(通水試験)を実施する。
試験開始後の移送状況については、屋内および屋外パトロールを実施し、漏えい等の異常がないことを確認。なお、試験完了については別途お知らせする。
*1 自動運転:各建屋滞留水移送の開始/停止を判断するためのしきい値(水位高/水位低)を設定し、移送ポンプの起動/停止を自動制御させる。
*2 1号機廃棄物処理建屋を除く、2~4号機廃棄物処理建屋
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機使用済燃料プール(以下、SFP)代替冷却系について、当該系統の空気作動弁用コンプレッサの交換に伴う準備作業(コンプレッサユニットおよび防護柵のアンカー打設作業)を行うため、7月28日午前6時2分に停止。冷却停止時のSFP水温度は29.4℃。停止は7月31日までの予定で、2号機SFP代替冷却系停止時のSFP水の温度上昇率は0.136℃/h、停止中のSFP水温度上昇は最大で約11.4℃と評価しており、運転上の制限値65℃に対して余裕があることから、SFP水温度の管理上は問題ない。
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年7月28日午後7時23分~7月30日午前5時)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
3号機 ~タービン建屋地下高濃度滞留水を移送停止
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
(6月30日には、6月29日午後1時46分SFP代替冷却系を起動と報告されている。また本日7月21日には、ポンプ交換のために一時停止した後再起動とある)
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中。
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年7月28日午後7時38分~7月30日午前4時55分)
※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
4~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
7月29日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により、一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。また堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。
なお、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)において異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H4エリア周辺地下水 E-1/E-9の全ベータ濃度>
採取日 7/20 7/21 7/22 7/23 7/24 7/25 7/26 7/27 7/28
E-1 23,000 23,000 14,000 15,000 9,900 8,500 6,800 4,700 3,700
E-9 14,000 ー 8,600 ー 6,400 ー ー 6,300 ー
※ 単位はBq/L。(ーはデータの発表なし)(悪は悪天候のためり採取中止)
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<H6エリア周辺地下水 G-1/G-2のトリチウム濃度>
採取日 7/20 7/21 7/22 7/23 7/24 7/25 7/26 7/27 7/28
G-1 240 600 240 1,600 500 1,300 1,000 1,200 1,400
G-2 920 410 600 300 310 190 220 220 190
※ 単位はBq/L。(ーはデータの発表なし)(悪は悪天候のためり採取中止)
1~4号機タービン建屋東側 ~地下水観測孔No.3でセシウム137が、1~4号機取水口南側(遮水壁前)では全ベータが過去最高値
新規事項なし
<過去最高値>地下水観測孔No.3
セシウム137:9.8Bq/L(2015年7月29日)
これまでの最高値:5.9Bq/L(2013年8月8日)
<過去最高値>1~4号機取水口南側(遮水壁前)
全ベータ:590Bq/L(2015年7月29日)
これまでの最高値:520Bq/L(2015年7月26日)