2015年6月9日 今日の東電プレスリリース

6月9日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

側溝内に設置された耐圧ホースからの汚染水が漏洩の続報。K排水路排水口6月8日採取の測定結果

K排水路排水口の放射性物質濃度(採取日:6月8日)については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。また、港湾口連続モニタの値に有意な変動が確認されていないことから、外洋への影響はないものと考えている。引き続き、監視を継続する。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年6月9日

「福島第一原子力発電所 K排水路排水口放射能分析結果|東京電力 平成27年6月9日」より

福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータ

「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて|東京電力 平成27年6月9日」に加筆
「福島第一原子力発電所構内排水路のサンプリングデータについて」よりK排水路排水口データを抜粋

耐圧ホースからの漏洩場所からK排水路排水口までにはかなりの距離があり、その間に多くの枝排水路の流れこみがある。5月29日の全ベータが1,400ベクレルという数値は枝排水路からの流れこみで希釈された末のものであることに注目すべきだろう。

※注釈にある「コンタミ」はコンタミネーション(contamination)の略で、実験室における汚染、サンプルの汚染などを意味する。いずれにしろ測定精度に信用がおけない可能性があるため参考値としたということか。

1号機

新規事項なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を、1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中

※ タービン建屋地下滞留水の移送は停止中

2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先はプロセス主建屋)

1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中

・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年6月5日午前11時19分~6月9日午前10時38分)
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月9日午前10時37分~)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年6月9日

※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中

3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水の移送先を切り替え(移送先はプロセス主建屋)

1号機の冒頭4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中

・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年6月5日午前11時30分~6月9日午前10時41分)
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年6月9日午前10時40分~)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年6月9日

※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中

4号機~6号機

新規事項なし

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系停止中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・RO濃縮水処理設備停止中

地下水バイパス

新規事項なし

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

6月8日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年6月9日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年6月9日

<H4周辺地下水E-1の全ベータ値>

4月21日採取 15,000Bq/L
4月22日採取 8,300Bq/L
(中略)
6月1日採取 4,900Bq/L
6月2日採取 5,400Bq/L
6月3日採取 5,500Bq/L
6月4日採取 5,100Bq/L
6月5日採取 5,100Bq/L
6月6日採取 4,900Bq/L
6月7日採取 5,200Bq/L

<H4周辺地下水E-9の全ベータ値>
5月18日採取 1,200Bq/L
5月20日採取 20,000Bq/L
5月22日採取 13,000Bq/L
5月25日採取 16,000Bq/L
5月27日採取 4,000Bq/L
5月29日採取 5,100Bq/L
6月1日採取 2,600Bq/L
6月3日採取 2,900Bq/L
6月5日採取 5,400Bq/L

※ E-9の測定データはなし