岩手大船渡の五年祭、何とかギリギリ顔だけ出せたんだけど、到着したらほぼ運動会のお昼休み状態。祭りの会場となったのは大船渡市魚市場周辺。友人のナガサワさんたちが汗を流して工事したという駐車場の中央を、まるで運動場のトラックのようにスペースを空けた状態で、祭に参加した各神社の氏子の皆さんたちは、周りの日陰で昼食タイムに突入しておったのであります。
ところが……。
お昼ごはんを食べていたのは氏子さんだけではなかったのです。
こちらは権現舞(獅子舞)の権現様。パカっと開く大きなお口には、これまた大きなおにぎりが2つづつ。なんともユーモラスな表情です。なんだか、食べながら頭を振って嬉しそうに舞っているようにも見えません?
権現様もお昼ご飯なんだあ、と話していたら、「うん、一回舞ってもらったからご飯時。それもただのご飯じゃないよ、うめご飯」と権現様の口にご飯を捧げていた小父さんが教えてくれました。
「でも、なんで梅ご飯なんですか? 梅に厄払いの力があるとか?」なんて質問したら、小父さんは笑顔で、
「うめじゃないの、うめぇ~ご飯なの」
権現舞は獅子舞の一種と思わていますが、そのルーツは東北地方に広く伝わってきた山伏神楽の最後に行われる舞なのだそうです。その舞では、五穀やお酒、織物や糸など神様への捧げ物を権現様に褒めてもらう「あげものほめ」という儀式も執り行われるのだとか。(後で聞きかじった話なので、今度もっとちゃんと勉強してきますね)
本式の儀式とは違うかもしれないけれど、舞ってもらったお礼にご飯を召し上がってもらおう。それも小父さんの言うように、そんじょそこらのご飯じゃない「うめぇ~ご飯」
話しかけてもカメラ目線だけは下さらぬシャイな小父さんの笑顔と言葉、そして権現様の表情に、大船渡の人たちのやさしさを感じた瞬間なのでありました。