3月20日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
※ 未発表のデータを追記して更新しました。
6号機燃料プール冷却浄化系の冷却を再開。G41-F042A弁の分解点検終了
当該点検作業に伴い、FPC系を3月19日午前10時22分に停止。FPC系停止時のSFP水温度は18.0℃であった。(既出)
同日午後4時40分に当該弁の点検が終了し、点検結果に異常はなかった。
その後、使用済燃料プール水位を回復させ、使用済燃料プール水位が運転上の制限である「オーバーフロー水位付近」に達したことを確認した上で、同日午後10時38分にFPC系を起動し、運転状態および分解点検を実施した当該弁に漏えい等の異常がないことを確認した。
当該弁の点検作業およびFPC系の復旧が完了したことから、同日午後11時5分に実施計画第2編第74条第1項(予防保全を目的とした保全作業を実施する場合)の適用を解除した。
なお、SFP水温度は19.4℃であり、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、SFP水温度の管理上問題はなかった。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月2日午前10時25分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成27年3月19日午前10時38分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・平成26年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月19日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(3月18日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆採取日(3月12日)→ (3月13日)→ (3月16日)→ 最新(3月18日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:23,000 Bq/L → 24,000 Bq/L → 26,000 Bq/L → 26,000 Bq/L
セシウム137:79,000 Bq/L → 84,000 Bq/L → 89,000 Bq/L → 90,000 Bq/L
全ベータ: 98,000 Bq/L → 110,000 Bq/L → 110,000 Bq/L → 110,000 Bq/L
トリチウム: 510 Bq/L → 530 Bq/L → 590 Bq/L → 540 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:2,100 Bq/L → 1,700 Bq/L → 1,800 Bq/L → 2,000 Bq/L
セシウム137:6,800 Bq/L → 6,000 Bq/L → 6,200 Bq/L → 7,200 Bq/L
全ベータ: 10,000 Bq/L →8,900 Bq/L →9,700 Bq/L → 11,000 Bq/L
トリチウム: 1,500 Bq/L → 1,500 Bq/L → 1,400 Bq/L → 1,500 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年3月20日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
3月19日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水での最高値は「iの北東側」で93Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」で75,000Bq/L。「iiの北東側」は3,600Bq/L。「iiiの北東側」で2,500Bq/L。「iiiの南西側」で4,600Bq/L。(ともに全ベータの値)