時々、どうかした拍子に耳に飛び込んでくる言葉がある。これもそのひとつです。
「あんたたちはさ、3月11日を忘れないって言ってくれるんだけど、自分には忘れたくても、忘れることなんかできねえんだよ。」
その言葉は、ふとした瞬間にとつぜんやってくる。これまで何度、いろいろな場所で、同じ言葉を耳にしたことだろうか。
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思い出せ。噛みしめろ。できることならその思いを自分自身の記憶にしてしまいたい。だが、そんなことできるのか?
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泥の中から突き出た白い手
泥の中に体がつながっているのかすらわからない白い手
生きて再会することができた人の手のあたたかさ
そしてまた目に浮かぶ、あの白い手
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忘れることなんかできないという言葉は、「もう二度と、誰にもこんな思いをしてほしくないだけなのよ」という言葉と同じだ。辛い気持ちに突っかい棒をかまして話してくれる、やさしく響く言葉の向こう側にあることを、感じとれない人などいない。
4年という時間は、語るにはまだあまりにも短すぎるんじゃないか。