ラジオ体操をお国言葉でやると楽しくなるワケ。

「おらほのラジオ体操」のお友達が気仙に誕生!

「腕を前から上にあげて大きく背伸びの運動から~。はい!」

ってのがおなじみのラジオ体操全国版。ところが石巻辺りに行くとそれがこうなる。

「ンデば、メーガラ 上さアゲデ、オッキク、背伸びっコ スッペシ~」

ラジオパーソナリティのほんまちゃん(本間秋彦さん)の、ほんわかした掛け声がたまらない石巻弁のラジオ体操「おらほのラジオ体操」だ。「復興には笑顔と健康が大切」と考える人たちによって震災直後につくられた。(文末にYouTubeへのリンクあり)

それがさらに岩手県南部の気仙地方(陸前高田市・住田町・大船渡市)にも広まった。このほどお披露目されたケセン語版のおらほは、こんな始まり方をするらしい。

「けァなァ めァガら あげで せのびのうんどォ」

おぉぉ・・、まだ実際に聞いたことはないんだけれど、すごく気になる。石巻のおらほより、ちょっとどころかかなり濃厚な予感も。とにかく早く聞いてみたい。

笑顔になっちゃうのはどうしてだろう

石巻の場合、ラジオ体操やろうってシチュエーションでは、たいてい「おらほ」が流されているんじゃないか。ビーチクリーンのボランティアに行った時も、ラッパ型の拡声器にスマホを引っ付けて、ピーとかガーとかハウリング音を立てながら、みんなで「おらほ」で体操した。仮設住宅で毎朝「おらほ」を続けているところもあるという。こないだなんて東京で、しかも浄土宗のお寺の道場で、いきなり「おらほ」が始まって(石巻で活動しているめ組Japanとこども∞感ぱにーの報告会)、びっくりだったけど場が和んだ。一瞬にして。

地元の人たちが、「おらほ」のお国言葉に笑顔になるのは分かる。だって、あのラジオ体操の掛け声が、慣れ親しんだ言葉に変身しているんだから。

だけど、お国言葉がいまいち理解できていない僕らが「おらほ」に反応して笑顔になったり、ふだんより5割増しくらいしっかりラジオ体操で体を動かしたりするのはなんでだろう?

言葉そのものの響きが楽しくてどこか懐かしげだから?
「あー、こんな風に言うんだ」という語学学習的なおもしろさ?
知らない言葉なのに、同じ体操ができちゃってるという共同作業の不思議さ?

理由はなんだかわからない。というよりか理屈抜きなのだ。「背伸びっコ スッペシ~」の一言でニヤッと笑ったあと、実際に両手を胸の前に交差させて左右に振り回していると、お腹の底からたまらない愉快さが湧き上がってくる。

自信を持って言えるのは、きっと聞けばみなさん笑顔になれる、ってこと。「楽しくなるワケ」なんてタイトルに書いちゃったけど、ワケなんて考える必要ないのかもしれない。だって理屈抜きに楽しいんだから。

おらほのラジオ体操 字幕入り

誰もが慣れ­親しみ、気軽に参加できる日本独自の習慣であるラジオ体操を「お国言葉」でおこなうこ­とで、地域住民の連帯感を高め、人と人とがつながるきっかけの場になればと願っていま­す。
CD販売の売上は震災地の復興義援金に当てています。

石巻から始まったお国言葉のラジオ体操。いまでは関西や九州にも広まって、東海新報さんの記事によると、いまや全国11地域に広がっているという。

岩手県の沿岸部へのボランティア基地だった遠野でも、この夏、遠野弁のラジオ体操が誕生したというニュースがあった。東北中のいろんな言葉のラジオ体操を集めて、いろんな地域のラジオ体操ができたりすると面白いかも。

お次は、日頃「亘理言葉」をお勉強中というロシナンテスさんに期待してみようかな。大嶋さ~ん、亘理町のみなさ~ん、よろしく!

●TEXT:井上良太