むかしむかし、ルックスは悪いけれど、心の広いおきさきがいました。おきさきは魔法のカガミを持っていて、いつも魔法のカガミにたずねます。
おきさき「カガミよカガミよ、この世で一番ブサイクなのは誰?」
おきさきは、カガミがいつもの様に、「あなたが、一番ブスいです」と、
答えるのを待ちました。しかしカガミは・・・
カガミ「あなたの娘、白雪姫(しらゆきひめ)です」
と、答えたのです。おきさきは、白雪姫の2度目のお母さんです。
おきさきは激しく動揺しました。自分の娘がブスだという事実に心を痛めたのです。
そこで白雪姫を綺麗にメイクさせようと、スタイリストを雇いました。しかし心の優しいスタイリストは、本人を目の前にしてブスだとは言い出せず、
スタイリスト「姫様のような美人が城にいると、おきさき様が嫉妬して大変です」
と白雪姫にそっと耳打ちをして、森の中に隠れるように提案しました。
そして、おきさきには『綺麗になった白雪姫は調子にのって家出した』と嘘をついたのです。
白雪姫は自分がブスだとは気づかないまま、森に住む七人の小人たちと暮らす事になりました。小人たちが山に働きに行っている間、掃除や洗濯をしたり、ご飯を作ったりして楽しく過ごしました。
小人「白雪姫、私達が仕事に行っている間、誰も家に入れちゃいけないよ。あのデリカシーの無いおきさきに、ここが知られてしまうからね」
と、いつも小人たちは言うのでした。
ところがある日・・・
おきさき「カガミよカガミよ、この世で一番ブサイクなのは誰?」と、おきさきがカガミに聞くと、
カガミ「山を越えたその向こう、七人の小人の家にいる白雪姫です」
と、答えたのです。
おきさき「なんですって!!あのスタイリスト、裏切ったね!よし、こうなれば・・・」
自分でに白雪姫をメイクしてやろうと考えたおきさきは、物売りのおばあさんに化けると、毒リンゴを手に七つの山を越えて小人の家に行きました。そして、窓を叩いて言いました。
おきさき「美しい娘さんに、おくり物だよ」
白雪姫「あぁん?きたねぇリンゴ売りつけやがって、この押し売りババァがぁ!」おきさき「・・・・・・!」
白雪姫はノーメイクでブスでしたが、むしろひどい性格ブスだったのです。
白雪姫「まー、腹も減ったし、リンゴはもらってといてやるよ!」
そのリンゴを一口かじるなり、白雪姫はバタリと倒れて深い眠りにつきました。
おきさきは、せめて白雪姫が自分より美しく見られるように綺麗にメイクをほどこし、ガラスのひつぎの中に白雪姫を寝かせて森の中に置きました。
しばらくして・・・
そこを偶然通りかかった、1人の王子が白雪姫のひつぎを見つけたのです。
王子「何て綺麗な姫なんだ。きっとメイクを取っても美しいに違いない・・・」
王子は思わず、ひつぎの中の白雪姫にキスをしました。するとキスしたはずみで、毒リンゴのかけらが白雪姫の喉から飛び出したのです。
目を開けた白雪姫は、
白雪姫「て、てめえっ・・・いきなりセクハラしといてガン飛ばしてんじゃねぇよ!」
と、王子を殴りつけました。
王子「ぐはぁっ!な、何をする・・・?お、親にも殴られたことないのに!」白雪姫「親にも殴られたことないだって?甘えてんじゃねぇよ、お坊ちゃまがぁ!」
白雪姫はさらに数発、王子の頬を殴りつけました。
王子「い、痛いっ、痛いよぉ!もうよしてっ!もうやめてぇ!」
白雪姫「もう弱音を吐かないと約束するか?そして・・・そして、私と結婚すると約束するか?」王子「えっ・・・!?」
白雪姫の突然の告白に、王子は驚いて凍りつきました。
王子「人を散々殴っておいて、玉の輿に乗ろうとは、なんて性格の悪い女・・・」
白雪姫「どうするんだ?結婚するのか、しないのか?」
王子「くっ・・・僕は・・・僕は・・・そんなドSのお姫様に、毎日なぶられたいです!」白雪姫「ふんっ、この変態王子がっ!」
世界で一番性格ブスのお姫様と、ドMの王子様との相性は抜群で、
結婚した二人は、ずっと幸せに暮らしましたとさ。
おしまい