桜の季節も過ぎ去ろうとしている4月半ば。私自身もつい先週に引っ越しを終え、新生活が始まりました。出勤の道中では、初々しい制服に身を包んだ中高生が目につきます。
そんな新しい季節ですが、そのつい少し前までは「戦争」とも表現される、受験シーズン。戦の果てに合格者発表が行われ、その合否を桜に例えて「サクラサク」などと表現します。 さてこの表現、今では全国どこでも利用されていますが、元々は早稲田大学に合格した際に用いられた言葉であることはご存知でしょうか。 ・・・と言いますのも、この「サクラサク」のルーツは、かつて携帯電話も普及していなかった時代。大学側が当時の電報局と協力し、電報にて受験生に合否を伝えたことに由来します。その中で、早稲田大学の「サクラサク」が全国的に広まったのです。なぜ「サクラサク」のみが広まったのかは諸説ありますが、この電報による合否発表の文化は早稲田大学だけではありません。
つまり、全国各地の大学がそれぞれ非常に個性に富んだ電報を発信していたのです。
例えば、大阪歯科大学では合格を「ニュウシ ハエル(乳歯 生える)」と表現したそうです。静岡大学は「フジサンチョウセイフクス(富士山頂征服す)」、お茶の水女子大では「オチャカオル(お茶香る)」など。思わず、へぇ~と言ってしまいます。しかし、私の祖父が言うには、淡々と「ゴウカクオメデトウ(合格おめでとう)」とだけ伝えるものも多かったそうです。 一方、海上保安大学では不合格を「フネシズム(船沈む)」と、もはや笑えないような通知も。三重大学も「イセワンニテザショウ(伊勢湾にて座礁)」と、合格を春で例える反面、不合格を冬の荒波で例える傾向が多かったようです。ほかにも、秋田大学の「オバコヒトリネアキタ(おばこ独り寝飽きた)」のような、一瞬意味を考えてしまうひねったものなども目立ちます。小樽商科大学の「ジゴクザカコロゲオチル(地獄坂転げ落ちる)」も、なかなかのヘビーインパクト。
こういった文化、廃れてしまっているようで寂しい気がしましたが、姿は変われど、NTT東日本・西日本ではD-MAILという名で、電報サービスを行っているようです。古き良き(?)この文化、良かったら、一度活用してみてはいかがでしょうか。
個性豊かな合格電報、ほかにもいろいろあるようです。
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