ミサイル発射から10分ほどで総理の記者会見

Kazannonekko452

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2月7日午前9時31分頃、テレビ各局の画面に「北朝鮮がミサイル発射」のテロップが流れた。NHK総合は日曜討論を番組途中で打ち切り、Jアラートの画面や石垣島に配備されたペイトリオットPAC-3の発射装置の映像に切り替えられた。

北朝鮮ミサイル発射、政府とマスコミの対応

発射は31分。約10分で先島諸島を通過の見込みと伝えられた
発射は31分。約10分で先島諸島を通過の見込みと伝えられた

発射から数分でNHKのスタジオには、海上自衛隊の元海将で弾道ミサイルに詳しい金田秀昭氏が登場する。

金田氏は平成11年に退官した元護衛艦隊司令官。海将という階級は他国での「中将」に相当
金田氏は平成11年に退官した元護衛艦隊司令官。海将という階級は他国での「中将」に相当

専門家が解説を始めてまもなく、9時43分頃には安倍晋三内閣総理大臣が首相官邸に現れ、ぶら下がりの記者会見が始まる。

会見を終えて立ち去る安倍総理。時刻は9時44分
会見を終えて立ち去る安倍総理。時刻は9時44分

さらに数分後には菅義偉官房長官の記者会見も開かれた。ミサイル発射から20分ほどの間に、沖縄県上空の通過、破壊措置命令を実行しなかったこと、そしてフィリピン近海(発表では本邦の約2,000キロ南の海上と言っていた)にミサイルの部品が落下したことまで、一通りの情報を国民に発信したわけだ。

北朝鮮のミサイル発射に対して、日本政府の初動に抜かりのないことを印象づけた。

それにしても対応がいい

たしかに北朝鮮が打ち上げ通告を前倒しした時点で、2月7日打ち上げの可能性が高いとされていた。しかしそれにしても、ちょっと段取りが良すぎるのではないか?

ミサイル発射が国民に知らされたのは、「全国瞬時警報システム」=Jアラートによってだ。アラートが発せられ、テレビ等で流されたのは9時31分より遡ることはない。発射と同時に警報が出されていたとしても、海自元海将の金田氏がスタジオ入りするまで5、6分ほど。金田氏は髪も整えネクタイもきちんと締めていた。

NHK放送センターでスタンバっていたとしても、身繕いしてスタジオに入るのに5、6分とはかなり早い。情報の確認や段取りの打ち合わせなど、ただスタジオに入りさえすればいいのではないことを考えると、この短時間での登場は驚きに値する。

発射から約10分で首相官邸に登場し、ぶら下がり会見をした安倍総理もそうだ。渋谷の私邸ではなく、官邸の近くのどこかでスタンバイしていない限り、このタイミングでの会見は不可能。菅官房長官に関しても同様だ。

さらに、記者会見に臨んだたくさんの記者たちも、まるで重大な出来事が発生することを予知していたかのように見える。テレビか新聞かにもよるが、最近ではあらかじめ待機指示が入らない限り、日曜日はお休みという記者も少なくないことを考えると、政府の中枢は元より、一部のマスコミにはこの日、この時間のミサイル発射が「おそらく、ある」との情報があらかじめ入っていたのだろう。

新聞やテレビの記者であれば、確実とされた情報が空振りで何日も待機ということもあるらしいが、総理や官房長官が発射から間髪入れずに記者会見を行えたということは、相当確度の高い情報だったと考えられる。

政府があらかじめ極めて確実な情報を得ていたと想像するのは、もとより仮定の話にすぎない。ただ、状況を振り返るとその可能性は少なからずある。

その仮説の上に立って思うことが2つある。

ひとつは「日本のインテリジェンス(諜報)もなかなかやるじゃないか」

もうひとつは「知ってたのに国民には知らせなかったのか」

外交や防衛のセオリーからいけば、国民に知らせなくて当然ということかもしれない。しかし、ミサイルの飛翔経路と想定された地域に配備されたのは、数基の迎撃ミサイル・ペイトリオット程度。ペイトリオットはたかだか20~35kmの射程しかない。とても日本全土を守れるような防備ではないことを考えると、不慮の事故が発生しなかったことは幸いだった。

それにしても、国民をどこまでしっかり守ろうとしているのか、いろいろと考えさせられることの多いミサイルへの対応だった。

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