東北で消防団員が不足している現実

iRyota25

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宮城県を中心とした東北地方のブロック紙、河北新報とその石巻版「石巻かほく」が伝えた。東北で消防団員が不足しているという。

石巻地方の消防団が団員確保の厳しい現実に直面している。消防団は地域の安全を守る重要な存在だが、東日本大震災による生活環境の変化などから団員数は減少。各市町は地道な広報活動に加え、出動時の安全確保を改善するなどして新たな戦力を待っている。

NEWS石巻かほく:消防団員不足が深刻 高齢化に震災で加速 石巻地方|メディア猫の目

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ishinomaki.kahoku.co.jp  

震災直後のニュースを思い出してほしい。経験したことのないほどの地震の揺れに襲われた直後、東北の沿岸地方の各地では消防団員が津波到来の危険をアナウンスして回ったり、要介護者の避難を手助けしたり、あるいは海岸近くの水門や防潮扉を閉めるために走り回った。津波が到達した後まで、消防車で走り回り、その為に多くの消防団員、消防隊員が犠牲となった。

震災で被害を受けた自動車がまとめられている場所で、犠牲となった消防車は多くの場合、外から目につきにくい一番奥の方に安置されていたことを思い出す。

消防の方々は、まさに命を張って故郷を守ろうとされていた。

しかし、その消防組織が厳しい現実に瀕しているというのだ。

各消防団では震災の影響で転居に伴い退団したり、高齢のため引退したりする団員が増えている。

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都会に暮らす人たちには、あるいは消防団の存在そのものを知らない人もあるかもしれない。消防団とはふだんは一般市民として本業を持っていて、火災や風水害などの災害時に消火、水防、救急、救助等を行う組織で、厳密には職業的な消防隊(消防署員)とは違う。しかし、より地元に密着した組織として、大都市部を除く日本中の広い範囲で消防活動を担ってきた。

いわば故郷の消防組織である。

しかし、地方都市でも会社の勤務体制が変化して地域活動である消防に参加しにくい状況が増えていくなかで、消防団員不足は全国的な課題になっていた。

そこに震災が発生し、消防団員として活動していた人たちの中にも、震災後に新たな生活の場を求めて転居したり、高齢になって団を抜けたりする人が増えて行く一方、新たな団員の補充が追いつかず、新聞記事に記されたような状況が生まれいるのだと考えられる。

そんな状況の中、同じく東日本大震災で甚大な被害を受け、人口の移動も少なくなかった東松島市では、「機能別消防団員」という新たな制度を導入することで、消防団員の減少を補おうとしているという。これも石巻かほくが伝えている。

東松島市は消防団員の確保や地域防災意識の高揚を図るため、通常の消防団員とは別に、新年度「機能別消防団員」の制度を導入する。消防団や消防職員の退職者を対象とする「退職退団団員」、所有する配達車や無線技術を生かして災害時の情報収集や伝達に当たる「情報団員」など5種類。市は募集を開始し「知識や経験を参加可能な範囲で地域防災に生かしてほしい」と入団を呼び掛けている。

NEWS石巻かほく:東松島市が「機能別消防団員」制度導入 新年度 通常と別に5種|メディア猫の目

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被災した地域は、災害公営住宅を整備して、入居者が増えて、入居者家族が利用しやすいような教育施設、買い物施設、医療施設などが整備されなければ、新たな地域として機能しない。しかし、そればかりではない。

人命を守る組織、地域に密着した防災組織である消防団の復活も、地域再生には欠くことができない重要な鍵なのである。

私たちに何ができるだろうか。少なくとも、その実情を知ることが、できることを探る一歩になることだけは間違いないと思う。

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